ぺんぎんの営巣地

ほとんど個人的な日記だよ。毎日こうしん。

20210627

『映画大好きポンポさん』は劇薬だった。
色んな意味で好きな映画は数あれど、これほど感情を揺さぶられる映画は初めてだ。

これ有言実行でぴったり90分の映画なのだけれど、詰め込まれた中身の暴力的な濃度は計り知れない。
観客の想像力を自在に操るようまさに命を懸けて削り出されていて、作中作に懸ける価値観を見事にその外側でも再現してる感じ。
この映画自体の素晴らしさを自己言及的に抉り出してもの凄い説得力が生まれている。

凡庸な作品だったら主役の挫折なんかで波をつくりそうなところでしょ。
そんなもの無くても珠玉を生み出せるんだってことを偏執的な熱量で見せつけてくる。

それでいて観客の興味を常に惹き続ける構成や印象的なカット、してやったり的な爽快感やナタリーのものすごい可愛さなどなど現代のエンターテインメントとしての美点に満ち溢れていてこれを超える作品をこの先観ることができるのかどうかわからず怖くなるほど。

というか自分は映画 (特定の作品群ではなく映画そのもの) が好きだったんだなあと今更意識してしまった。
この経験はもう自分に焼き付いて一生引き摺るんだろうなあ。

映画が好きといえばタイトルが「映画大好き」なのだけれど、この「映画大好き」の意味は自分がいう「映画が好き」とはまったく違うのが面白いよね (そもそも多分、「映画」が指す内容そのものが違う)。
このポンポさんのあくまでも「プロデューサー」としての振る舞いがまた途轍もなくかっこいいし、だからこそ最後のあの台詞が際立つ感じ。
このへんタイトル (とポンポさんのビジュアル) から受ける印象と比べてめちゃめちゃ立体感があって善い。

最高の作品だった。何度でも観返したいからはやくBD出て欲しい。