ぺんぎんの営巣地

ほとんど個人的な日記だよ。毎日こうしん。

20231222

読んだ。

青春と、20年以上に渡る親愛の物語。
時の流れに伴う寂寥感と、その中で僅かに灯るウェットな情念みたいな内容がただでさえ大好きなのに、ゲームというモチーフのおかげで完全に嵌っている。

1章1章噛み締めたくて1ヶ月近くちびちびと読み進めていた。
これはゲームでもまさにそうだけれど、一気に駆け抜けるのと、少し味わっては離れてまた戻るのを繰り返すのとでは体験の質が変わってくるのよね。
どちらが好ましいかは作品によるけれど (FF14とか漆黒まで駆け抜けてしまったのはそれなりに後悔している)。

何よりも「それでも物語としては、ゲーム制作よりも上位のテーマとして愛を描く」みたいなことはなく、価値観を否定しないでいてくれることが嬉しいよね。
あと、彼らが作るゲームの内容をブラックボックスにせずちゃんとゲームと向き合う態度が好きだったりする (ヒットしたというバックボーンに説得力をもたせられているかはともかく、物語の上での納得感はかなりある)。

シェイクスピアやディキンソンはともかく、『オレゴン・トレイル』を知らないとちょっと勿体ないかもしれない。
「あなたは赤痢で死にました」で (SCPの他に) ピンと来ないなら一瞬調べてから読んだ方が味わいが深まるかもしれない。