ぺんぎんの営巣地

ほとんど個人的な日記だよ。毎日こうしん。

20220403

『楽園ノイズ』4巻読んだ。

演奏の描写が始まるとともにあたかもタクトが振り上げられたかのように周りの音が消えて視野が塞がり、ただただ言葉の流れに身を委ねるしかなくなるの、相変わらずすごい体験。

しばしば物語の象徴として使われるような「正典」の音楽の基準点が相対的に過去へと遠ざかり続ける中で、「今ここにちゃんと積み上がってるんだけど??」って感じの音楽と人の営みを物語へと昇華してくれるの『楽園ノイズ』の本当にいいところだよね。
人間だけの物語を描くのではなく、若い、しばしば架空の内容ですらある音楽をストーリーの象徴に据えてくれるからこそ、『さよならピアノソナタ』のときのような人間関係の青春感が描かれなくとも「これは青春の物語だ」と言い切れる感じがある。

※ただし自分も本当の現代 (2020年代) のティーン文化と縁があるわけではないので、これはあくまで「一世代前のティーン・エイジャーによる青春観」であって実際には今のティーンからは当事者意識のない古びた感覚だと思われる可能性も孕んでいる……。こわい。